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創業時の会計・税務情報

決算月の決め方


法人の場合には、会社設立の際に、事業年度を決める必要があります。決算月(決算期)とは、この事業年度の区切りの最終月をといい、例えば3月決算の法人であれば、41日から331日までが1つの事業年度となります。事業年度は1年を超えて定めることはできません。また、事業年度終了の日から2月以内に、法人税等の税務申告書を税務署等に提出する必要があります。

法人の決算月は事業規模や業種によって特徴がある
決算月は他の法律による規制がない限りは、原則として自由に定めることができます。
上場企業は3月決算が多いです。これは、①国や地方公共団体の予算編成が4月から翌年3月であるため、3月には売上が増加する傾向にある、②税法の改正が41日からの適用が多い、③新卒の採用のタイミングとあわせている等の理由があげられます。

3月決算の月に多い決算月は12月です。外国企業を親会社に持つ外資系企業は12月決算となっているところが多いです。
また、小売業に多いのは2月決算と言われています。これは、小売業界は1月と7月がバーゲンセールで最も忙しい時期のため、繁忙期と決算月が重ならないように配慮し、バーゲン後の在庫が少なくなる月を決算月とすることで、在庫の実地棚卸をしやすくしているようです。
その他に、大手ビール会社の決算月はどの会社も12月決算となっています。これは、ビールが大量に売れる時期は歓送迎会の多い3-4月、夏の時期の7-8月、忘年会シーズンの12月であり、消費が落ち込む2月の閑散期を申告月としたためと言われています。
なお、国税庁の平成29年度の決算期別にみる普通法人の数の統計によると、法人の決算の少ない月は、11月、1月、10月(いずれも全体の3から4%程度)、次いで2月、4月、7月(いずれも全体の6%から7%程度)です。

会社の繁忙期の観点から考える
決算月から2か月以内に法人税等の確定申告業務を行う必要があるため、決算後の2か月間は繁忙期に重ならない配慮したほうが望ましいといえます。また、税理士事務所の繁忙期は12月から翌年5月までです。税理士に申告書の作成を依頼する場合には、作業を円滑に進めるという観点でも税理士業界の繁忙期を避けたほうが良いという見方もあります。

消費税の観点から設立1期目の事業年度を考える
設立日から決算月まではできる限り長く取ったほうが、消費税の免税期間を長くなるというメリットがあります。これは資本金1千万円未満の法人は1期目と2期目は、消費税の納税義務が原則として免除されているからです。しかし、設立後半年で売上が1千万円を超え、かつ、給与支払総額が1千万円を超えるような法人の場合には、1期目の事業年度を7か月を超えて設定すると、2期目から消費税の納税義務が発生するため、第1期目の事業年度の設定には注意が必要です。特に、個人事業から法人成りするケースでは、1期目から売上も給与支払額も1千万円を超えるケースがあるため、そのような場合には、あえて事業年度を7か月以下に設定することがあります。

資金繰りの観点から考える
資金繰りの観点から決算月を決めることもあります。決算月の2か月後には税務申告書を提出し、納税をする必要があるため、会社に現金がある時期の2か月前を決算月とすることで、資金繰りが楽になります。源泉所得税の納期の特例を適用している会社は、1月と7月に半年分の源泉所得税の納付が発生します。また、7月はこの他に労働保険料の支払いもあり、税金や社会保険料の納付が多い月となっています。

一度決めた決算月を変更できる?
決算月は、会社設立の際に決めた後も、変更することが可能です。この場合、株主総会で事業年度の変更決議をし、税務署等へ異動届出書を提出します。変更直後は1年未満の事業年度が発生するため、この1年未満の事業年度にかかる税務申告書の提出が必要になります。

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